社外取締役の人材難によって、上場企業の社外取締役の24%が3社以上を兼任し、女性に
限ると31%が3社以上を兼任しており、適切に評価されていない等、株主からの目も厳し
くなっています。ここでは、この状況が企業にもたらす複数のリスクについて考えていきたいと思います。
まず、社外取締役の過重労働によるパフォーマンスの低下リスクです。複数の企業を兼任することにより、各企業に十分な時間とエネルギーを割けなくなる可能性があります。これにより、取締役会での議論が浅くなり、経営への有効な監視や助言が行えなくなる恐れがあります。
次に、兼任の増加が独立性の欠如を招くリスクです。複数の企業で社外取締役を務めることにより、利益相反の状況が生じやすくなり、取締役の判断が偏る可能性があります。そのような状況は株主の懸念事項となるため、取締役の独立性を確保するための対策が必要です。
さらに、女性取締役の偏った分布によるリスクです。外部から招かれる女性取締役が増える一方で、社内からの女性登用が進まないことは、企業内部の多様性と平等性の観点から問題視されます。これにより、持続可能なガバナンス体制の構築が困難になる可能性があります。
これらのリスクを軽減するためには、社外取締役の評価システムの導入や独立性の確保、女性幹部候補の育成や取締役会の多様性促進等の4つの対策が考えられます。
これらの対策を実施することで、企業は社外取締役の役割を最大限に活用し、ガバナンス体制の強化と株主の信頼を獲得することが可能になります。