政府によるコロナ禍の中小企業支援策が終了し、資金繰りの悪化によって借金返済を信用保証協会が肩代わりする代位弁済が45%も増加しています。
2020年3月から22年9月にかけ、元本の返済と利子の支払いを一定期間免除する実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)が行われ、利用数は約245万件、融資額は43兆円となりましたが、24年4月に返済ピークを迎え、約5万社が返済期に入っています。
このゼロゼロ融資の返済を巡っては、コロナ禍からの業績回復が進む企業と、経営不振から抜け出せない企業で2極化が進んでいるようです。中小企業庁によると民間金融機関でゼロゼロ融資を利用した企業のうち、2024年3月末時点で完済した割合は16%で、返済中が53%のようですが、今後は物価高や人件費増などで返済がより難しくなることも予想されており、倒産予備軍がさらに増加する可能性があります。
特に建設業界では2023年より倒産件数が大きく増加しておりますが、背景には人手不足と資材価格の高騰による工事採算の大幅な悪化があり、更に2つの2024年問題が追い打ちをかけています。
具体的には、2024年4月から工事現場での時間外労働を上限年720時間以内とする規制が適用となり、人手不足の中、人件費にさらなる増加圧力が掛かることが想定されます。
更に、資材を運ぶトラックドライバーも時間外労働が年960時間までに制限されるため、工事の人手と資材の運び手がさらに逼迫し、更に人件費増がのしかかる可能性があります。
今後は、人手不足、物価高、人件費増加、さらにはゼロゼロ融資の返済も相まって倒産リスクが更に増加する事が想定される為、自社だけではなく主要取引先の倒産にも注意が必要でしょう。