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金融庁による政策保有株の削減と企業内代理店への緊急調査について

金融庁は、大手損保4社による企業向け保険の事前価格調整問題をうけて、
政策保有株の削減増加と速度アップを求め、企業内保険代理店の緊急調査を始めました。

 

政策保有株式とは

政策保有株式とは、純粋な投資目的の株式保有ではなく、
取引先との関係維持や強化を狙って企業が保有する株式のことを指します。

金融庁が損害保険大手4社に政策保有株の売却を加速するように求めた背景には、
4社合計の政策保有株が述べ5,900社、6.5兆円(時価ベース)あり、
株の持ち合いを通じた企業とのもたれ合いが一連の不正行為の温床となったことが
理由の一つに挙げられています。

実際に、政策株の保有は安定株主を望む取引先への営業支援の一環の意味や、
親密さの象徴になっていることもあり、提案内容の優劣に関係なく
政策株の保有比率で保険契約の配分が決まることも少なくありません。

 

また、金融庁は企業内保険代理店の緊急調査にも乗り出すようです。
大企業の多くは一般的に、自社グループの代理店を仲介役に保険契約を
締結することが少なくない事がその背景にあります。
これら企業内保険代理店は親会社から出向者や余剰人員の受け皿という側面があり、
また保険実務の専門性を持つ人材が少ないことも実態としてある為、
親密先の契約に依存してしまっている事実もあります。

 

なお、企業が保険契約のシェア配分を行うに当たり、損保に対して
過度な営業協力を求めるケースもあり、保険業法が禁じる「特別利益の供与」
に抵触する可能性もあります。

似たような事例は企業同士の会食や贈答品でも指摘がされており、
最近では「ギフトコンプライアンス」に注力する企業も増えてきています。

まとめ

企業との癒着やキックバックなどの不正が起きないよう、また不正再発防止のためにも
各企業はガバナンス体制の強化と、仕組み作りを考える必要があるのではないでしょうか。