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自働車メーカーの「型式指定」の不正の影響とその要因

自動車の「型式指定」を巡り、トヨタ自動車、マツダ、ヤマハ発動機、ホンダ、スズキの5社の不正行為が見つかり、取引先5万社への影響が懸念されています。

日本自動車工業会によると、自動車産業の製造品出荷額は全製造業の約2割で、研究開発費は部品を含めて3割近くといずれも製造業でトップであり、関連産業も含めた就業人口は550万人を超えています。また、帝国データバンクによると、自動車メーカー8社のサプライチェーン(供給網)企業の総数は5月時点で5万9193社あり、総取引額は41兆9970億円と推計しており、幅広い影響が及ぶ可能性があります。

 

これらの不正は企業価値の低下にもつながり、トヨタ自動車の株価は、国の認証手続きを巡る不正発覚を機に、5日までの3日の続落により7日までの1週間で5%下落し、一時反発したものの、不正発覚前に比べ時価総額は約2.9兆円減りましたが、生産量から見て出荷停止等による業績への影響は少ないとみられています。

 

日本では、2016年に三菱自動車などの燃費不正の際に、不正な手段で型式指定を受けた場合に指定を取り消せるように法改定され、2017年の日産自動車などの検査不正の際にメーカーに対する是正命令が創設され、2023年のダイハツ工業などの認証不正では監査や審査等の強化を検討中でした。

 

型式指定制度は日本車の安全性と信頼性を下支えしてきましたが、試験の多くをメーカー自らが実施する企業任せの構造が過去の不正の遠因となっており、機動的な開発ができるメリットの半面、品質問題が発生すれば、タカタがエアバッグ問題で最大2億ドルの民事制裁金を課されて経営破綻に繋がったように、巨額の制裁金や賠償訴訟に発展する可能性があるので注意が必要となります。