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短時間労働者への厚生年金適用による中小企業への影響

厚生労働省は、厚生年金の短時間労働者への適用について、企業規模の要件を撤廃するなどの年金制度改正に向けて、年末までに最終案をまとめると発表しました。
これまでパート労働者の厚生年金加入は、企業規模が101人以上(10月からは51人以上)で、賃金や労働時間の要件を満たす必要があり、個人事業所では、建設や製造などの法定の17業種で5人以上が勤める場合に限られていた。

 

検討されている短時間労働者の厚生年金への加入要件について纏めると、企業規模は撤廃の方向で検討、5人以上の個人事業所(法定17業種は適用)は全ての業種に適応する方向で検討、労働時間(週20時間以上)は雇用保険の適用拡大の施行状況も見極めて検討、賃金(月8.8万円以上)は最低賃金の引き上げを踏まえた検討が必要、学生除外については見直しの必要性は低いと考えられているようです。

 

これらの見直しが全て承諾されると、2023年末時点で厚生年金に加入している短時間労働者90万人に160万人程度が新たに加わることとなります。同時加入の健康保険によって補償も確保され、休業手当や出産手当金が受けられるなどで充実する利点があります。

 

しかし一方で、短時間労働者の加入が義務付けられると、多くの中小企業の負担が多くなることが考えられます。具体的には、保険料の労使の折半ルールによる金銭的な負担と共に、これまで未加入であった短時間労働者の手続きや管理等の事務負担も増えるため、人件費の増加も想定されます。

 

人材不足による人件費増や仕入れ値の高騰等で業績が厳しくなる中、社会保険の適用拡大は更なる負荷となります。中小企業経営者はこれらの政策によって経営難に陥らないためにも、助成金の活用やフリーランスの採用などを検討することが求められます。