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損保大手の政策保有株売却による過去最高益の更新と自社株買い

損保大手3社は政策保有株式の売却益によって過去最高益を更新しましたが、売却益によって得た資金で自社株買いや成長投資等を積極的に行うと発表しました。具体的には、損害保3社が発表した24年3月期連結決算は、合計の純利益が前の期比2.3倍の1兆4800億円となり、全社が過去最高益を更新し、東京海上ホールディングス(HD)は1000億円、MS&ADインシュアランスグループHDは1900億円、SOMPOホールディングスは770億円を上限に自社株買いを実施するようです。

 

しかし、各社が最高益を出した背景には、株高で政策保有株式の売却益が膨らんだこと等があり、代理店を通した販売などの高コスト体質は未だ改善されておらず、自動車保険や火災保険の収益は厳しい状況が続いています。

 

実際に収益力を示す「コンバインド・レシオ」(100を上回ると赤字で、数字が低いほど競争力がある指標)でみると、大手4社の24年3月期は95.9~100.7%であり、非常に厳しい状況が続いています。

 

尚、一般的に自社株買いは「株価の安定化と向上」や「余剰資金の有効活用」、「一株当たり利益の向上」や「株主還元」、「敵対的買収の防止」など、様々な目的で実施することが多いですが、今回の場合は株主還元の意味合いが強いと考えられます。

 

また、会社法が見直されて自社株の活用の幅が広がることが想定されるため、自社株を保有する意味合いは高まってくることが想定されます。

具体的には、自社株を使った買収を国内企業から海外企業にまで広げて、企業の海外への拡大戦略に活用したり、自社株式を無償譲渡できる対象を役員から社員まで拡大することで、自社株の一部を社員に支給し、個人の所得向上に繋げ、売却禁止期間を設けて離職を防止する等の活用も可能になる予定です。