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厚生年金の適用拡大が従業員と企業に与える影響

厚生労働省はパート・アルバイトの厚生年金の適用拡大に向けて、賃金や労働時間などの要件見直しについての議論を開始しました。この議論をめぐっては、適用拡大を推進するべきだという意見が相次いだ一方で、中小企業の事業者団体からは費用負担を懸念する声が多く上がっています。

厚生年金の適用には労働時間、賃金、学生除外、企業規模といった要件などがあり、現在は従業員101人以上の企業で月収8万8000円以上、週の所定労働時間が20時間以上といった要件を満たすと、パート労働者にも厚生年金が適用されており、10月には企業規模が51人以上の企業にまで適用が拡大されることが決定しています。
この改正によって、配偶者の扶養に入りながらパートなどで働いていた人は、適用要件を満たすと現役時の保障が手厚くなり、老後の老齢年金の給付増につながりますが、新たに社会保険料を負担する必要があるため、手取が大幅に減ることになり、「年収の壁」の問題が更に大きくなることが想定されます。

厚生労働省が提示している改革案は、従業員規模の要件を撤廃したうえで、就労時間や月収が一定水準を超える全員が加入可能になった場合の将来の給付水準を計算するものであり、パート労働者でもほとんどの人が基礎年金だけでなく厚生年金ももらえるようになります。

今回議論に上がった厚生年金の適用拡大は、企業にとっては人件費増加となり、特にパートやアルバイトを多く採用している企業にとっては、悩ましい問題となります。
各種助成金や補助金を活用しながらも、しっかりと適用拡大に向けて準備を進めていく必要があり、自社のみでの対応が難しい場合には社会保険労務士などの専門家に相談することが求められます。