金融庁は一連の損保業界の不祥事を受け、兼業保険代理店に新規制を適用し、便宜供与等の規制対象を拡大すると共に、保険ブローカーの新規参入を後押しする方針等を打ち出しています。それによって、保険会社や保険代理店は適切な対応が求められています。
まず、自動車販売等の兼業代理店に対する規制強化ですが、保険会社も営業部門と保険金支払い部門の分離が求められますが、保険代理店側も企業内部の管理体制を見直し、利益相反を防ぐ仕組みを導入することが必要であり、内部統制の強化や外部監査の導入等を通じて、信頼性を高めることが求められます。
次に、グループ会社にも適用される便宜供与の規制強化です。保険会社は従来の保険代理店やグループ会社に対して行ってきた便宜供与の優劣によって、保険契約を獲得してきた側面がありますが、今後は保険本来の価値を評価して頂く必要があり、大きく営業戦略やビジネスモデルを転換する必要があります。また、グループ会社に属する企業内代理店においては、保険会社からの出向等による依存から脱却し、自立した経営が求められます。
さらに、保険仲立人(ブローカー)における保証金の引き下げは、新規参入のハードルを低くするため、競争の激化が予想されます。保険会社や保険代理店は競争力を維持するために、サービスの質を向上させる努力が求められます。具体的には、顧客対応の迅速化や、保険商品の多様化が考えられ、顧客ニーズに合わせた商品開発やアフターサポートの充実が、競争力強化につながるでしょう。
保険業界の大きな変革に伴い、特に兼業代理店や企業内代理店及び保険会社は新たな規制に対応するために、内部体制の整備と透明性の確保が不可欠となるでしょう。