厚生労働省は精神障害による労災認定の増加を受けて、従業員の精神状態を調べるストレスチェックについて、これまで努力義務だった従業員数50人未満の零細企業も対象に加えます。この新たな規制は、労働者のメンタルヘルス向上と労働環境の改善が目的であり、企業にも有効なリスク対策ですが、義務化による負担増と共に、新たなリスクが伴います。

従業員のメンタルヘルスの悪化は、パフォーマンスの低下や休職、さらには退職に至ることがあり、企業の人材の損失や生産性の低下を招き、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

そのため、企業はストレスチェックを適切に実施し、従業員のメンタル状況を把握すると共に、ストレスを多く抱えている従業員には早期に医師の面接指導を提供するなどの対応を行い、従業員のストレスが深刻化する前に対策を講じることが求められます。

しかし、義務化された事によって、今までやる必要のなかった50人未満も零細企業には新たな業務が発生し、コスト負担が増えることにも繋がりますし、適切に実施されていなければ、逆に安全配慮義務違反を問われるなどのリスクが生じる可能性があります。

また、ストレスチェックの結果を適切に管理し、プライバシーを保護しなければ、従業員との信頼関係が損なわれ、さらなる問題を引き起こす可能性があります。厚労省はプライバシー保護についてのマニュアルを作成する予定であり、企業はこれを参考にしながら情報管理の体制を整備する必要があります。

企業は、従業員のメンタルヘルスを維持・向上させるために、継続的な取り組みを行うことによって、従業員が安心して働ける環境を提供し、生産性の向上と業績の改善を図ることが期待されます。ストレスチェックの義務化を機に、企業は従業員の健康管理を強化し、働きやすい職場環境を整備することが重要です。