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増加するアクティビスト(物言う株主)のリスクの傾向と対策

今年の株主総会も経営に様々な注文をつけ企業価値の向上を試みるアクティビスト(物言う株主)と企業との激しい攻防の繰り返しが予想されます。特に多様性の高い取締役会は、意思決定が遅く、また分断が生じやすいことが指摘されており、アクティビストに狙われやすくなるため注意が必要です。また、安定株主を「持たざる企業」もアクティビストや買収の標的になりやすくなるため、対応の検討が必要となるでしょう。

 

この安定株主を「持たざる企業」の採れる有効なアクティビスト対策は3つと言われています。一つ目は、株主還元などの要求を一部でも実施することであり、株主還元を大幅に増やした西松建設の例が挙げられます。2つ目がMBO(経営陣による買収)などで非上場化することであり、東芝等が選択した対策です。最後の3つ目がアクティビストに徹底抗戦するという対応方法です。

アクティビストの株主提案は年々増え続け、標的となる企業の数も増えている中で、「持たざる企業」によるアクティビスト対策は非常に重要です。

 

そのような環境下において、安定株主を確保したいという企業も多いですが、政策保有株式に厳しい目が向けられている中、法人同士の株式持ち合いに依存しない安定株主の確保を模索することも重要であり、従業員の株主化は選択肢の一つと考えられます。また、経営の安定性を確保するには、種類株式の活用等も視野に入れるべきでしょう。

 

政策保有株式によって安定株主を確保してきた日本企業は、アクティビストを「物言う株主」と呼び、特別扱いをしてきましたが、運用会社や個人もそれぞれのやり方で意見を表明する時代であり、特別な存在としての「物言う株主」は株式市場で消えつつあると考えられます。