自然災害やサイバー攻撃、感染症等のリスクの多様化でBCP(事業継続計画)の策定が広がり、8割の都道府県で策定企業が増えましたが、依然として大企業が37.1%、中小企業が16.5%です。BCPの策定は企業の事業継続と信頼構築に不可欠であり、更なる広がりが期待されます。
南海トラフ地震や富士山噴火など大規模災害が想定される地域では、地元企業が積極的にBCPを策定しています。例えば、有事に備えて非常用発電機を活用して事業の継続性を確保したり、災害が発生した場合の行動を簡潔に記したカードを配布し、迅速な対応を可能にしている企業もあります。
また、高知県では防災対策優良取組事業所の認定制度を設け、認定企業には融資の金利優遇などのメリットを提供し、岐阜県では県が独自のBCP基本モデルを提供し、企業の策定支援を行うなど、自治体による支援の幅も広がっています。
近年では、サイバーセキュリティーの重要性も高まっており、サイバー対策を強化すると共に、サイバー攻撃による事業中断に備えたBCPを策定する企業も増加しています。不審なメールの取り扱い方やセキュリティー対策を全社員で共有し、取引先からの信頼を得るための取り組みを進めています。また、感染症に対応したBCPの重要性も高まっており、主に健康被害をもたらすため、人材を適切に確保することが求められます。
地球温暖化により自然災害が増加する中で、企業は様々な要因による事業中断に備えるためにBCPを策定し、資金繰りも含めた包括的なリスク管理を行うことが重要です。地域や業種ごとに異なるリスクに対処するため、企業や自治体が協力して防災対策を進めることによって、今後もBCPの策定が進み、企業の事業継続力が一層強化されることが期待されます。