人口動態統計によると、2023年の日本人の合計特殊出生率と出生数はいずれも過去最低を更新し、加速する少子化は日本経済に大きな影響を与えると考えられます。合計特殊出生率は、1人の女性が生涯のうちに産む子どもの数の平均値ですが、人口の維持には2.06〜2.07が必要とされ、一般に1.5未満を「超少子化」と位置づけていますが、2023年の日本人の合計特殊出生率は過去最低の1.2にまで下がっています。
少子化の要因としては、育児費用や住居費等の生活費の増加等の経済的な理由、女性の社会進出や結婚年齢の上昇等の社会的な理由、個人の自由やキャリアを重視する等の価値観の変化やライフスタイルの多様化、不十分な育児支援制度や労働環境の問題、晩婚化と不妊の増加等の複数の要因が相互に影響し合っており、少子化対策には総合的なアプローチが必要と考えられます。
人口減少は日本経済に深刻な影響を与えますが、超高齢化が進むことで引き起こされる各種問題を総称して「2030年問題」と言われています。企業においては、生産年齢人口の減少によって深刻な人手不足が想定され、人材獲得競争の激化による人件費の高騰によって業績が大きく下がることが想定されています。さらに、生産年齢人口の減少は経済にもマイナスの影響を与え、総人口の減少は国内市場の縮小につながり、国内市場の縮小は、投資先としての日本の魅力低下を招き、結果として日本経済の成長力の低下が懸念されます。
これらに対応するために、企業は働き方改革によって働きやすい柔軟な雇用を実現し、副業の推進やフリーランスの活用を行うと共に、女性やミドルシニアの活躍促進やリスキニングを行い、デジタル化やAIの活用によってDXを推進するなど様々な対策を適切に実施することで、人材不足の解消や生産性の向上を行うことが求められます。